2023年6月1日
資金調達
採択率5割超!第10回事業再構築補助金の変更点をお教えします。
経済や国内企業の活性化を主な任務とする経済産業省は様々な補助金施策を実施しています。
その中の一つに事業再構築補助金があり、この度第10回を実施する運びとなりました。
第10回の実施にあたりこれまでの運用と変更点がでましたので、この回で解説していきます。
■事業再構築補助金とは?

簡単に、本補助金がどのような性質を持つのか押さえますので、利用できそうであれば応募をぜひ検討してください。
本補助金は新分野への事業展開や業態転換、業種転換、事業の再編など、思い切った事業再構築に挑戦する企業を支援するものです。
複数の枠がありそれぞれの採択率は異なるものの、これまで全体としては概ね50%程度の採択率となっているため、比較的利用しやすい補助金といえます。
補助金を受けられた場合は融資金のように返済の必要がないので、利息を乗せて返す必要はなく安心して自社の運営資金として活用できます。
応募を考える場合資料の準備などに時間を要すため、計画的に動いて参加準備を整えましょう。
■事業再構築補助金第10回からの変更点8つ

では早速第10回公募からの変更点を見ていきます。
変更点は以下の8つです。
①成長枠の新設と売上要件の撤廃
これまで申請件数が多かった通常枠が廃止されて、代わりに「成長枠」が創設され、これまで必要とされていた売り上げ減少の要件が撤廃されることとなりました。
売り上げが増加している企業でも参加する道が開かれているので、今まで門前払いとなっていた場合でも応募が可能です。
②エントリー枠の新設(グリーン成長枠)
これまでのグリーン成長枠が改変、細分化します。
グリーン成長枠(スタンダード)と、スタンダード枠の要件を少し下げたエントリー枠が増設されました。
スタンダードとエントリーの要件の違いは以下の通りです。
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エントリー
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スタンダード
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付加価値額の増加
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4%以上
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5%以上
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研修や技術開発の年数
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1年以上
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2年以上
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対象となる従業員の割合
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5%以上
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10%以上
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③補助率の上乗せ
「成長枠」と「グリーン成長枠」については以下の要件を満たすことで補助率の上乗せがあります。
「大規模賃金引上促進枠」については
1.継続的な賃金引上げや従業員数の増員に取り組む事業者の上限を上乗せ
2.補助事業期間内に一定の賃上げを実施した場合、補助率を三分の二(中小企業)または二分の一(中堅企業)に引上げ
「卒業促進枠」については
事業終了後3年から5年間で現在の法人規模を拡大する場合に上限の上乗せ
④「産業構造転換枠」の新設
国内の産業構造の変化等により事業の再構築が求められる事業者を支援するもので、市場規模が10%以上縮小すると見込まれる業種から別の業種、業態に転換する事業者が対象となります。
補助率・補助金額の上乗せがあり、さらに廃業を伴う場合は廃業費として最大2000万円の上乗せがあります。
⑤「サプライチェーン強靭化枠」の新設
昨今の世界情勢に鑑み、国内におけるサプライチェーンの強化を図ることを目的として各種部品等の国内製造を強化する試みです。
地域産業の強化にもつながる本施策の補助率は中小企業が二分の一、中堅企業は三分の一、最大5億円の高額支給が望めます。
⑥「物価高騰対策・回復再生応援枠」の新設
これまでの「回復・再生応援枠」と「緊急対策枠」が統合され新たに「物価高騰対策・回復再生応援枠」が創設されました。
補助率は中小企業で三分の二、最大3000万円の補助となります。
要件は以下の通りです。
・10%以上の売上減少
・年率平均3%以上付加価値額の増加
・中小企業活性化協議会から支援を受けて再生計画を策定すること
⑦複数回採択の拡大
これまではグリーン成長枠のみが複数回採択可能であったところ、「産業構造転換枠」と「サプライチェーン強靱化枠」についても、複数回の採択が可能になりました。
ただし一定の条件があり、一回目の採択を受けている場合は二回目の採択においては差額分までの支給が限度となります。
⑧事前着手承認制度の制限
事前着手承認制度の対象が2022年12月2日以降(令和4年度第二次補正予算の成立日)に購入手続きをしたものに見直しされます。
事前着手承認制度が適用できるのは「最低賃金枠」「物価高騰対策・回復再生応援枠」「サプライチェーン強靭化枠」の3つです。
■第10回公募期限と手続き

事業再構築補助金を利用するには認定支援機関の関与を受けることが必要です。
中小企業支援に関する専門的知識及び実務経験を有すると認められる者として、国の認定を受けた支援機関のことです。
具体的には税理士や税理士法人、公認会計士、中小企業診断士、商工会や商工会議所、金融機関などがその任を担います。
公募期間は2023年の6月30までですので、応募を検討する場合は早めに行動しましょう。
■まとめ

この回では事業再構築補助金の第10回公募における変更点を見てきました。
コロナ禍の影響や社会経済の変化などから事業の再編や転換を考える事業者を支援する施策で、採択されればお得な支援策ですので、対象になりそうであればぜひ検討してください。
応募する場合は認定支援機関の関与を受ける必要があるため、専門家への相談を早めに行いましょう。