2023年1月26日
会社経営
2025年問題。後継者不足の現状と理由を詳しく説明します。
現在、経済や雇用など多方面の専門家、アナリスト等が声を上げている問題があります。
「2025年問題」は一般の方にはまだ耳馴染みが無いかもしれませんが、各方面の専門家が問題提起をしているので、ぜひこの機会に押さえておきたいものです。
これまでも事業者の後継者不足は叫ばれていた事実ですが、「2025年問題」はいよいよその問題が重大な局面を迎えるというものです。
本章ではこの問題について深堀してみましょう。
■2025年問題は何が「問題」なのか?

2025年という数字は、これまで日本経済を支えてきた、いわゆる団塊の世代が後期高齢者となる時期を指します。
第一次ベビーブームによって生まれた団塊の世代は約800万人に上るとされ、我が国の興隆に大きな力を発揮してくれたことは言うまでもありません。
これらの方々が後期高齢者になり、現役を引退すると国内の高齢者は2200万人に達すると予想されます。
国民の4人に1人程度が高齢者となる計算で、現役世代が抱える負担が急増し、様々な問題を引き起こすことが危惧されています。
具体的にどのような影響が予想されているか、次項で見ていきましょう。
■2025年問題の具体的な影響

2025年問題は当然国も承知をしているところで、中小企業庁は「中小企業・小規模事業者におけるM&Aの現状と課題」の中で、以下の3つの影響が出ることを想定しています。
①経営者の高齢化及び後継者がいないことによる廃業
中小企業庁の想定では、2025年までには245万人ほどの経営者が70歳に達するとされています。
この想定に入る経営者へのアンケートでは、現状でまだ後継者が決まっていないと回答しています。
後継者の確保は随時検討されるとは思いますが、後継者不足はかなり前から問題視されていることですので、簡単にいく問題ではありません。
後継者の確保に失敗するケースが相当数に及ぶと予想され、廃業者が多数出ると見込まれています。
②約22兆円規模のGDPの損失
廃業が増えることにより、国内生産力が大きく低下することも懸念されています。
想定では22兆円規模のGDP損失につながるとされており、国力の大きな低下につながると憂慮されています。
世界情勢においては力に物を言わせて様々なプレッシャーをかけられる恐れも出てくるので、単に経済だけでなく軍事などの安全面でも国力低下は大きな問題になります。
③約650万人分の雇用の喪失
廃業が多くなれば当然雇用の受け皿も失われます。
想定では650万人規模の雇用が失われるとされており、単に雇用がなくなるだけでなく技術の伝承がなされなくなるなど、長期目線での問題も指摘されています。
■既存事業者の取り得る対策は?

では2025年問題を見据えて、現状で事業者が取り得る対策にどのようなものがあるか見ていきます。
①早めの事業承継対策
すでに取り組んでいるところも多いと思いますが、後継者の選定や育成には時間がかかるので、まだのところは早めに取り掛かるようにしましょう。
まず検討したいのが親族内事業承継で、経営者の身近な親族を後継者候補として選定、育成できないか考えます。
自身の子どもだけでなく、配偶者や兄弟なども対象になりますが、本人に経営者になる意思が無ければ意味がないので、時間をかけて説得したり、経験を積ませるなどの余裕期間が必要になります。
親族内に候補がいない場合、社内の部下など親族以外の人材を候補に入れる必要が出てきます。
②M&A
後継者がどうしても確保できそうにない場合、株式を他社に売却するなどして事業を譲るM&Aも検討しなければなりません。
現状で上手くいっているビジネスであればM&Aに応じてもらい易いですが、相手にとって魅力が無ければM&Aは成立しません。
またM&Aは実務的にも難しいため、ビジネスや経営に明るい専門家と二人三脚で進める必要があります。
③国の支援策の活用
2025年問題以前に、事業承継が難しくなっている国内企業の現状を捉え、国では様々な支援策を用意しています。
これらの施策をうまく活用することで事業承継のハードルを下げることができるので、積極的に活用しましょう。
以下で支援策の種類や概要を簡単に押さえます。
■活用したい各種支援策

例えば以下のような支援策があるので有効に活用しましょう。
①事業承継・引継ぎ補助金
事業承継を機にして新しい取り組みを見せる事業者や、事業統合を行う事業者を資金面で応援する施策です。
支給される補助金は返済不要ですので経営を圧迫しません。
②遺留分に関する民法の特例
日本の相続法には「遺留分」という仕組みがあり、これは一定の法定相続人に認められる最低限の遺産の取り分をいいます。
遺留分は民法でルールが決められているのですが、これに照らすと事業承継の場面で思わしくない影響が出ることがあります。
特例の利用により民法の原則を修正し事業承継を容易にすることができます。
③事業承継ファンド
中小企業基盤整備機構が実施する事業承継ファンドは、民間機関と共同して事業承継事案に対して必要な資金提供を行っています。
経営に関する相談や各種支援を行ってくれるので、ぜひ活用しましょう。
④税制面の特例
本来、M&Aを実施する際には事業用の不動産の権利移転の際に登録免許税や不動産取得税などの税金がかかります。
こうした負担は少なからず事業承継の足かせとなりますが、特例により各種税金がかからない仕組みになっているので、ぜひ知っておきたいものです。
⑤事業承継・引継ぎ支援センター
各都道府県に設置される支援センターは公的な相談窓口で、事業承継に関する総合的な相談が可能です。
必要に応じて専門家への橋渡しもしてくれるので、これから事業承継対策を考える時の最初の一歩に利用できます。
■まとめ

本章では「2025年問題」について見てきました。
後継者不足の問題はかねてから指摘されてきましたが、いよいよ大きな局面を迎えるのが2025年です。
事業者の皆様におかれましては、できるだけ早期の事業承継対策を考えて頂きたいと思いますが、弊社としても各種コンサルティングを通してぜひ応援をさせて頂きたいと考えています。
ファクタリングによる資金提供に止まらず、経営コンサルティングを通して必要な支援を提供して参りますので、ぜひお気軽にご相談頂ければ幸いです。