2023年4月3日
会社経営
銀行融資を受ける際の事業計画書の作り方を解説します!
他人資本に頼る資金調達の代表としては銀行融資があり、実際問題として銀行からの借り入れ全くせずに事業を続けていくのは難しいことが多いと思われます。
銀行から融資を受けるには様々な資料を提出して審査を受ける必要があり、事業者としてはその準備だけでも相当の手間と時間を取られることになります。
用意すべき資料の中には事業計画書のように事業者が自分で作成しなければならないものがあり、そのため本業にかける時間をとられてしまうので煩わしい思いをすることになりますが、融資を引き出すために重要な役割を果たすことになるので手を抜くことはできません。
本章では銀行融資を受ける際の事業計画書の作り方について解説していきますので、ぜひ参考になさってください。
■銀行が事業計画書の提出を求める理由

事業計画書とは、現時点の自社の状況を評価、確認したうえで、数年、十数年あるいはそれ以上のスパンでどのように利益を確保していくのかをまとめた計画書です。
必ずしも銀行に融資をお願いするために作られるわけではなく、経営者本人や経営陣など自社内で今後の事業戦略を見据えるために作成されることもあります。
融資事案においては資金を貸し付ける銀行側が融資先の将来性を知り、返済リスクを見るうえでの判断材料として用いられます。
融資の審査においては事業計画書以外に決算書の提出を求められますが、こちらはあくまでも現時点での対象企業の成績を知り得るにとどまります。
決算書は現時点での企業成績が分かるので、これを基に格付けを行うことができますが、より慎重に融資の可否を判断するには対象企業の将来性の評価も必要です。
事業計画書は将来性を判断するための資料として機能しますから、これで良い評価を受けられれば融資を引き出せる可能性が高まります。
仮に現時点での事業成績が芳しくなく融資を受けづらいケースでも、事業計画書を作成、提出して良い印象を持ってもらうことができれば融資を勝ち取ることができることもあります。
その意味で、事業計画書は決算書を補填する役割を持つとも言えます。
■事業計画書はどう作る?

事業計画書は書式やフォーマットが決まっているわけではありません。
自由性がある反面、逆に何をどう書いて良いのか分からないと困ってしまいますね。
事業計画書の作成を求められる場面や提出先によって多少違いが出ますが、銀行融資の事案の場合は以下のような項目内容を記載します。
①経営理念や目的
対外的に自社の存在意義を説明するにあたり、どのような経営理念の下でどのような事業を行う会社なのかを端的に記述します。
この項目では細部までの説明は不要で、社会で必要とされる〇〇という需要に沿い、自社の強みである△△を用いて□□というサービス、商品を供給するなど、ザックリとどのような意義を持つ企業なのか説明できるようにします。
②企業概要や経営者の経歴
法人の場合は設立年月日や所在地、資本金額、株主、代表者や従業員数など形式的な企業概要を載せる他、経営者自身の経歴も掲載して事業推進のアピールを行います。
法人運営も実際には中で実働する経営者の能力が機動力の根源となっているわけですから、経営者自身がどのような経歴を持ち、どのようなスキルや知識、経験を持っているのかは融資を行う側から見ても重要視するところです。
③自社の商品やサービスについて
事業者側としては最も力を入れて書きたい項目がこちらで、おそらくほとんどの経営者はあまり苦労せずに書き進めることができると思います。
ただし意識しておくべき点があり、これを無視して進めてしまうとせっかく書いた文面も相手に響きません。
自社がどんなサービスや商品を提供しているのかは難なくかけると思いますが、それが市場に受け入れられ、しっかり売り上げを上げていけることが示されないと融資担当者に良い印象を与えられません。
社会における需要が間違いなくあること、そして競合他社との競争に負けずに利益を上げていける自信を文面に載せる必要があることに留意しましょう。
④具体的な販売戦略
社会の需要に対してどのような販売戦略で臨むかも実務を見るうえで重要な指標になります。
具体的な生産方法やそれにかかるコスト、仕入れ先との付き合い方なども記載して、数字を基にした説明ができるようにします。
製造原価など細かい記載も必要になるので、作成者としてはかなり気を使う作業になるでしょう。
しかしこうした細かい数字を示すことができないと、次に示す返済計画の論拠も不十分になってしまうため、融資担当者を納得させることが難しくなります。
⑤返済計画
仮に融資を受けたとして、それをどうやって返していくのかをまとめるのが返済計画です。
返済計画を立てるには、将来にわたって会社の資金繰りがどのように変化し、その中で返済資金をどうねん出するのか考える必要があります。
そのため、将来的な予測として月次や年次にかかる損益計算書、キャッシュフロー表などの作成が必要になります。
これらの数値を基にして具体的な返済プランを作成することになるので、事業者としては最も気を使う作業になります。
まだ融資を受けられるか分からない状況で、多くの時間と手間を割くことになりますから、経営者的には生産性を感じにくく、手間感を強く覚えると思われます。
他人資本に頼る融資による資金調達ではこうした苦労が求められます。
■銀行側の評価ポイントは?

では提出された事業計画書を銀行側がどのような視点で評価するのか見ていきます。
①分かりやすい作りになっているか
銀行の融資担当者は個別の事業内容に精通しているわけではありません。
専門用語ばかりで理解しにくい内容だとその時点で評価はかなり下がります。
かといって丁寧に説明したいあまりに資料のボリュームが多くなると、担当者が直感的に「読みたくない」と思ってしまい印象が悪くなります。
15分から20分程度で読めるボリュームにまとめられるようにするのがポイントです。
②実行可能な計画かどうか
事業計画は将来における予想を描くものですから、必ずその通りになるとは限りません。
そこで重要になるのは数字による説明が実現可能なものなのか、行動計画が実際に実行できるのかが評価者目線では重要になります。
自社を良く見せようと無理な計画を描くと、担当者からは実現可能性が低い計画に見えるので懐疑的になります。
融資担当者としては、これまで対象企業が実際に行ってきた事業内容と照らして、事業計画書に無理がないかどうかを見極めていくことになります。
③返済計画に無理が無いか
銀行側として最も重要なのが返済に支障でないかということです。
将来予測に不都合がないようであれば、返済計画に載せられた返済金額等の妥当性をチェックします。
返済期間が長すぎないか、返済金額が適切かどうかを判断し、必要であれば調整を求めます。
■まとめ

本章では銀行融資を受ける際の事業計画書の作り方について見てきました。
事業計画書は融資を受ける際の審査に必要な資料の一つで、決算書では判断できない将来予測を説明する資料です。
仮に現時点での企業成績が芳しくなくても、事業計画書で力強い説明ができれば融資を引き出せるチャンスがあります。
事業計画書は経営者自身の独力で作成するのが難しいことも多いので、必要に応じて専門家の助力を得ることも必要になります。
弊社では各種コンサルティング事業の中でこうした支援も可能ですので、ぜひお気軽にご相談くださいませ。