2023年3月14日
スタッフブログ
コロナ後の2023年は景気はどうなっていくのかを分り易く解説します。
数年続いた新型コロナ騒動は2023年に入り次第に落ち着きを見せ、3月にはマスクの着用についても制限が大幅に緩和されてほぼ個人の判断に任せることが決定されています。
相手がウイルスですので今後の状況の変化次第ではまた逆戻りもあるかもしれませんが、ワクチンなどの対抗策も充実してきており、コロナに対するリスクが大分緩和されたと感じている国民が多いようです。
今後の景気を考える上では好ましいと考えられますが、世界事情も深く絡むことですので単純にはいきません。
本章では2023年の我が国の経済の行方について考察してみたいと思います。
■世界経済の動向

先に日本を取り巻く世界経済の動向から簡単に押さえていきたいと思います。
まず米国については大方の予想として景気の後退は起きづらいと考えられるものの、金融引き締めによる影響で成長も鈍化するとの予想が一部で出ています。
欧州についてはエネルギー価格高騰の問題が尾を引き、経済活動が抑えられ成長率上昇はほぼ期待できないとの予想があります。
中国についてはゼロコロナ政策を転換し経済成長を狙っているものの、前年比5%程度の伸びを実現できるかどうか、というところです。
中国では需要の拡大が期待されているところですが、活動が活発化する副作用としてエネルギー消費量が増えることから、世界のエネルギー供給不足に拍車をかけないか心配されます。
ロシア・ウクライナ紛争は今年もしばらく続く見込みで、収束を感じさせる要因はまったく存在しません。
エネルギー、及び食料品のサプライチェーンは以前のように戻る期待が持てず、大きな不安要素となっています。
少なくとも米国経済が悪化に転じることが無いように祈るところです。
■日本経済の展望は?

では日本経済の2023年の展望に移ります。
日本経済については大方の識者が緩やかな上昇を期待しています。
国内では海外旅行客の受け入れを開始しており、インバウンド需要をうまく取り入れている他、国内の旅行需要にも政府のテコ入れにより需要の喚起が行われています。
2022年時点でのGDPと比べて、2023年の実質GDP成長率はわずかながらも回復が見込まれています。
円安が落ち着き、海外経済の状況次第では輸出面で勢いが弱まる可能性があるので、こちらの状況に注視したいところです。
一方で国内需要は潜在力がかなりあると考えられており、消費者の消費行動が進めば国内経済の循環に好影響を与えてくれます。
個人消費の面では賃金の上昇についての期待が持てます。
労働側の要請に対し、経営側も応じる回答を見せており、大企業では素早い対応を見せています。
ベースアップや初任給の高額改訂など、労働者のやる気を後押しする状況が出始めています。
今後、地方や中小企業にもこの姿勢が波及してくると日本全体の国内需要の高まりを後押しするでしょう。
企業の設備投資などにも期待を持ちたいところですが、中小企業はコロナ禍における窮地を一応は脱したものの、その影響がまだ後を引いており、資金繰りにあえぐ経営者が多くいることも事実です。
融資の返済にかかる負担の他、資材や原材料の価格は紛争や世界情勢の影響で高騰が続いています。
政府は中小企業の支援に関して様々な施策を講じていますから、こうした支援策で底支えを継続してもらいたいと考えます。
日本経済全体としては、資材等の高騰の影響で苦しむ企業が多いものの、インバウンドや国内需要の喚起をさらに進めることで景気循環を促し、企業利益に繋げたいところです。
■国内の企業トップの予想は?

ではここで国内の企業トップが今年2023年の景気予測をどう捉えているか見ていきます。
経団連など3つの経済団体が新年に行った祝賀会では、経済のトップ8人に経気動向に関するインタビューが実施されています。
各要人の回答要旨を抜粋して見てみましょう。
①日本商工会議所 小林会頭
現在エネルギー価格の高騰、人手不足などで企業の経営環境は厳しいものがある。
雇用の7割を占める中小企業が賃上げを実施できるよう環境整備が不可欠である。
②すかいらーくホールディングス 谷会長兼社長
今年の経済は緩やかに回復すると見込む。
製造業を中心にして経済の回復が進むだろう。
③ANAホールディングス 芝田社長
航空業界の需要は国際線、国内線どちらも需要が着実に回復してきている。
主にビジネス需要に力強さを感じている。
国内線はほぼコロナ前の状況まで回復した。
訪日需要は韓国、台湾、オーストラリアなどが伸びている。
今後中国からの需要が戻るかどうかがカギとなる。
③IHI 満岡会長
アメリカの景気後退が危ぶまれるところで、欧米や中国についても不確定要素がある。
対して日本経済は頑張れば成長が期待できると予想する。
④AGC 平井社長
下期には回復が進むと見ている。
原材料高や米国のインフレと金利高、中国の政策転換という3つの要素がどう影響するかがポイント。
少なくともアメリカと中国の動向は下期には回復し、伴って日本経済に好影響をもたらすだろう。
⑤ディー・エヌ・エー 南場会長
インバウンド需要が強烈に回復するだろう。
日本は海外経済に頼らず内需で景気を回復させる可能性が高い。
⑥三井物産 堀社長
物価高は警戒を要す。
コロナからの回復需要は取り込める余地が多く、今年は期待が持てる。
⑦三菱UFJフィナンシャル・グループ 亀澤社長
基本的には緩やかに回復する。
個人消費も強く、企業の設備投資にも強さがある。
⑧サントリーホールディングス 新浪社長
インフレは続くだろう。
上期は物価上昇を危惧するが、下期に回復する予想。
以上、経済要人の景気予想を抜粋して見てきました。
新年会という場での意見ですが、大方が上向きの予想を見せていることは心強く感じますね。
■まとめ

本章ではコロナ後の2023年は景気がどうなっていくのか見てきました。
アメリカを中心とした世界経済がどうなるかについては不透明さも残るものの、日本国内では需要の盛り返しが期待され明るい兆しが十分にみられると判断して良いと思います。
目前の物価高騰が国民の財布のひもを固くしていることは否めませんが、今後の賃金上昇に伴ってその影響も薄まると期待しましょう。