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  • 2023年5月24日
    資金調達

    雇用調整助成金の不正受給、関連会社は大丈夫?事例でわかりやすく解説します。

    近時、ようやくコロナの影響が薄れ以前に近い状態に戻りつつあります。
    少し前まで社会に大きな負担をかけていたコロナ騒動のさなかには、国内企業のダメージを低減するために政府も色々と支援策を提供しました。
    その中に雇用調整助成金があり、この支援のおかげで多くの事業者と被雇用者が救われました。
    一方で同助成金の不正受給も相次いで発覚して問題になっています。
    この方面ではグループ企業を先導する本社のリスクが高いことが指摘されているので、本章ではこのテーマについて深堀していきます。

    ■雇用調整助成金とは?

    雇用調整助成金ガイドブック画像

    まず雇用調整助成金とはそもそもどういうものかというと、コロナの影響で事業活動の縮小を余儀なくされた企業が、従業員を休業させる場合の休業手当の一部を助成するものです。
    コロナのせいで仕事が減り、社員を休ませようとしても、社員の生活の維持のために会社は休業手当の支給が必要です。
    会社自体が仕事がなく苦しいのにそれは酷だということで、費用負担の一部を国が補填するのが雇用調整助成金です。
    これにより雇用を守り、社員を抱える企業の倒産を防ぐのが同助成金の目的です。

    ■なぜ不正受給が増えたのか?

    不正受給イメージイラスト

    本助成金の主旨は至極真っ当なものですし、実際に会社と雇用の両方を守る役割を果たしたと評価できます。
    しかし緊急的な要素があったことから厳正な審査よりも支給のスピードを重視したために不正受給事案が続出しています。
    所管する厚生労働省によると、本助成金の支給決定件数は579万件で不正受給はそのうち1221件にも上ると発表しています。
    金額的には、総支給額5兆3470億円のうち187億8000万が不正受給されたとしています。
    不正受給の中身としては、雇用実態がない者を雇用しているように装ったり、休業の実体がないのに休業したことにする、休業手当を支払っていないのに支払ったことにした、などの体裁を作り、助成金の支給申請を出していたようです。

    ■不正受給をした場合のリスクやペナルティは?

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    雇用調整助成金の不正受給は、労働局を騙して助成金を交付させたとして詐欺行為に当たる可能性があります。
    刑法上の罪ですから、経営者が逮捕されることもあり得ます。
    また被害者となる厚生労働省も助成金の不正受給には厳正に対処しています。
    まず事前予告なしの現地調査を行うことや、不正受給が認められた場合は受給した助成金全額に加えて、その二割増しの額をペナルティとして返還請求することとしています。
    不正受給に関して知恵を貸したものがいればその者の氏名を公表すること、悪質な場合は刑事告訴を実施することも発表しています。

    ■関連会社で不正受給が起きる怖さとは?

    関連会社組織図イメージ画像

    不正受給に関しては労働局が厳正に対処する方針ということでもっともな話ですが、複数の関連企業を傘下にすえるグループ会社の形態をとる場合は別の視点から大きなリスクがあります。
    不正受給を行った会社やその社長が責めを受けるのは当然としても、不正を行っていない関連企業までが巻き添えを食う可能性がるからです。
    実際に起きた事例を参考にケーススタディをしてみます。
    本社Aの傘下にBCDEという関連企業があり、それぞれは法人として独立していますがグループ企業として動いています。
    地元では名の知れた企業体で、全ての企業に同じ企業名称が記載されています。
    例えば「〇〇電子機器」「〇〇化学」「〇〇製造」などで、「〇〇」は同じ社名です。
    現場の事業はそれぞれの法人のトップが指揮を執っています。
    ここで仮にE社が単独で助成金の不正受給に関わったとします。
    そうするとE社が責めを受けるのは当然としても、そのブランドイメージの低下は本社Aは勿論、他のBCD社にも影響が及びます。
    本社のあずかり知らぬところで起きた不正受給がグループ企業全体に影響するということで、実際にそうした事例が報告されています。
    ではグループ企業を率いる本社としてはどのような対策が考えられるでしょうか。

    ■本社の立場で気を付けるべき点は

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    グループ傘下の各企業は独立した法人として機能するので、まずはそのトップとなる社長に誰を据えるか、グループガバナンスを考える中で人選を考慮することが必要でしょう。
    コンプライアンスを軽視するものが社長になれば不正受給が起きやすくなるので、法令順守の意識がしっかりしている者をトップに据えるのが賢明です。
    また現場では上司や社長から不正な圧力を受けて、従業員がその意思に反して不正行為をさせられる事案もないわけではありません。
    そうしたことが起き得ると考えて、現場の従業員からの直接の通報窓口を設置することも考えられます。
    同じ法人内では通報が難しいことも考えて本社一括で通報を受け付ける体制にするのも良いでしょう。
    もちろん、通報者が不利益を受けないような細かい仕組み作りも必要です。
    コンプライアンス重視の姿勢をグループ企業全体で共有できるようにしておくことが望まれます。

    ■まとめ

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    本章では雇用調整助成金の不正受給事案が多く出ている事実を取り上げて見てきました。
    雇用調整助成金はその趣旨は真っ当で効果も実際に上がっていますが、残念ながら審査が緩かったために不正受給がかなり発生してしまったようです。
    不正にかかわった企業がペナルティを受けるのは当然として、グループ企業の場合はその影響が関連企業まで派生する可能性があるので注意が必要です。
    グループ企業の場合、独立企業体を束ねる本社の責任は重くなります。
    傘下の企業が何らかの不正にかかわれば、本社としても責任を追及されることになるので、この点を意識したコーポレートガバナンス(企業統治)を考える姿勢が求められます。