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2023年9月8日スタッフブログ
海外法人を設立するメリット・デメリットを分かりやすく解説!残念なことではありますが、我が国は少子化が進んでいる現状があり、市場規模としては縮小傾向に進んでいると評価する専門家もいます。
経済は必ずしも人の数だけで決まるものではないので、人口減少の事実だけで憂慮する必要はないのですが、日本国内の需要を取り込むことの他に、海外の需要層を取り込むことができれば市場規模は一気に拡大します。
海外でビジネスを行うにあたっては現地に海外法人を設立することができ、これにより様々なメリットを得ることができます。
反面、デメリットを生じる可能性もあるので、両面を知ったうえでの検討を要します。
本章では海外法人を設立するメリット・デメリットについて分かりやすく解説していきますので、ぜひ参考になさってください。■海外法人を設立するメリット
まずは海外法人を設立するメリット面から見ていきます。
①マーケットが広がる
まずは冒頭でもお話ししたように、海外の需要層の獲得によるマーケット拡大の恩恵を直接取り込むことができます。
単純なイメージですが、日本国内の需要層が1億人であれば、国内だけでビジネスをしていると最大でも1億人分の需要しか得られません。
海外に進出してさらに1億人の需要を取り込めれば、2億人分の需要層に訴求することができます。
また海外の需要層が他の企業との引き合いにならない、いわゆるブルーオーシャン市場であった場合、価格競争などを要せずに最大限に利益を引き出すことができるでしょう。
この点、日本国内では多くの企業が顧客を奪い合っているので、すでに価格競争で消耗している企業も多いと思います。
海外ではまた手つかずの需要層がいるので、思い切って国内事業を縮小して海外事業に主力を振り向けるのも一考です。②現地のトレンドをいち早くキャッチできる
必ずしも海外法人を設立しなくとも、日本国内にいながらでも海外ビジネスは可能です。
しかし現地に法人を設立するのとしないのとでは情報やトレンドのキャッチ力に雲泥の差が出ます。
現地に駐在員を派遣して常駐させることで、現地の風習や習慣、日常のトレンドなどをいち早くキャッチして対応することができます。
スタッフが日本国内にいるとどうしても機敏な対応ができず、事業展開にスピード感もでません。
現地法人を設立することでその課題を解決できます。③企業イメージの向上につながる
海外法人を作ることは企業のイメージ戦略上も有効です。
国内事業の方面から見た場合、海外で事業を展開する企業はそれなりのブランド力を持ちます。
「世界で戦うあの企業か」という感じでイメージが作られるので、国内需要にも良い影響を生むでしょう。④金利差の影響を受けない
実利面では現地の取引において日本と海外の金利差の影響を受けないということも大きなメリットです。
特に今は円安で日本の円が弱い状態です。
国内から海外ビジネスを展開する場合、金利差の影響で負担が大きくなることがありますが、海外法人を設立することで現地の通貨で直接ビジネスができます。
現地の銀行とも直接取引ができるので、金利差による負の影響を受けずに済みます。⑤税金が安くなる
日本の法人税は高いとよく言われます。
これを嫌って海外に法人を立てる企業も多くあり、この点で人気があるのがシンガポールです。
元々の税率が低いのに加えて各種の税優遇システムがあるため、日本国内で事業をするよりもかなりお得です。
正直なところ、日本の法人税は基本路線として税率を下げる方向で考えてもらいたいものです。⑥リスク分散につながる
複数の国でビジネスを展開することは、全体的なリスク分散につながります。
日本は市場としての安定性は十分あるのですが、地震や洪水などの自然災害のリスクからは逃れられません。
近年は地震、洪水、台風などのリスクが高まっているとされ、実際に大地震や台風の被害は経験しています。
国内市場だけに依存するよりも、海外にも収益の軸を置くことで総合的なリスク分散ができます。⑦新しい技術やノウハウを得られる
国内だけでビジネスをしていると、良くも悪くも変化が少なく新しい知見を得るチャンスが少なくなってしまいます。
海外は日本とは異なるグラウンドですから、新しい知見や技術、ノウハウなどを得られるチャンスが広がります。
それらを国内ビジネスに転嫁したり、他の海外事業に生かすことでその企業としての強みを生かすことができます。⑧人件費の削減
国にもよりますが、日本よりも人件費の安い国がたくさんあるので、生産拠点として稼働させることで収益の拡大につながります。
日本から既存の社員を派遣するとかなりの出費になりますが、現地採用で人件費を削減できれば恒常的な出費を抑えられます。⑨人材の確保ができる
人件費の問題もそうですが、日本では今人材難で採用が難しい現状が広がっていますね。
少子化など複数の要因が絡んでいることですが、海外には労働意欲のある人材が豊富にいるので、採用難とは逆に買い手市場の国もあります。
より優秀で稼働力のある人材をできるだけ安く採用できれば、効率の良い事業運営を安定して行うことができるでしょう。⑩認可制度・営業規制がゆるい国がある
事業内容によっては許認可が必要なものもあります。
日本は基本的には規制が厳しい部類に入ると思いますが、海外はこうした規制が緩い国もあります。
何をするにも行政の監視が入る日本と比べて、自由な営業をしやすい海外の方がビジネス展開がしやすいということもあります。
日本での展開で規制をくぐるのが厳しい場合でも、海外ならば問題ないこともあるので、諦めずに海外に目を向けることも考えましょう。■海外法人を設立するデメリット
一方で、海外法人を設立することによるデメリットが生じることもあります。
①節税につながらないことがある
日本の税務当局は高い税率を嫌って日本を去ろうとする事業者に課税を強化する姿勢を取っています。
例えばタックスヘイブン対策税制では、税率が20%未満の国で行った事業利益について、日本の本社の利益と合算して課税することになっています。
その他にも国内の課税から逃れることを封じる、抑制するルールがいくつかあり、思ったような節税につながらないということもあり得ます。②日本の支援機関を利用できない
日本国内にはビジネスにおける公的な支援機関がたくさんあり、この面では日本は恵まれていると言えます。
国や都道府県、市町村などの支援機関が多数あり、資金調達の面でも優遇が利く施策が多く提供されています。
海外で現地法人を立ち上げる場合はこうした支援機関を利用することができず、恩恵にあずかれません。③資金調達の面で不利になる可能性がある
海外の国にも進出する企業に対して色々と支援を提供するところがあります。
しかし国によっては、あるいは当該国の中の地方政府においては他国企業への融資には積極的でない可能性もあります。
進出する国の積極的なサポート体制が無い場合、事業展開が上手くいかない可能性もあります。④コストの増大
海外に法人を設立する場合、現地にオフィスを構える必要があるので、諸々の費用がかかります。
現地で人材を採用する場合でも、最初は日本から採用担当スタッフを派遣するなどして現場を仕切らないといけません。
技術を伴う仕事の場合、やはり日本から指導員の派遣が必要で、出張費などがかさみます。⑤スタートまでの道のりが長い
日本国内で別法人を立ち上げるという場合もかなりの時間がかかります。
まして海外に法人を立ち上げるとなるとその比ではありません。
国が違えば何もかも異なるわけで、本格的な進出の前に相当の時間をかけて法制度の調査を行ったり、税制度について理解する必要があります。
また治安など安全性の確認も大切です。
元々政治的な情勢が不安定な国の場合、暴動が起きたり政変が起きる可能性もあります。
派遣した社員が海外の暴動に巻き込まれて死亡するケースも実際にあるので、安全面の確保における責任は重大です。
現地採用した人員のトレーニングにも時間がかかるので、事業スタートまで相当の時間がかかることになります。⑥文化の違いがある
海外の風習や習慣は日本と根本的に異なるので、提供を考えているサービスなり商品なりが現地の人々に受け入れてもらえるか事前に入念な調査が求められます。
その調査にはそれなりに時間がかかりますし、需要の把握に失敗するとせっかく海外法人を作ったのに早々に撤退を迫られる事態になりかねません。⑦言語の壁がある
海外に進出する以上、言葉の壁は避けて通れません。
日本にいるスタッフが皆進出先の国の言語に精通していれば良いですが、大抵はそのようなことはないでしょう。
通訳を介してでないと物事が進められないという環境だと、スピーディな事業展開が難しくなります。■海外法人設立を考える際の注意点
ここでは海外法人の設立を考える際の注意点について見ていきます。
①海外企業受け入れに積極的な国を選ぶ
海外と一口に言っても相当の数があります。
海外企業の受け入れに積極的な国もあればそうでない国もあるので、海外進出を図るならば当該国の支援を受けやすい国を選ぶのがセオリーです。
海外企業に積極的な支援を行う国はたくさんありますが、シンガポールのように法人税が安く各種支援策のある国は他にもマレーシアなどの東南アジアの国に多い印象です。
どの国がどのような支援策を用意しているか調査してみましょう。②テストマーケティングは必須
海外事業として考えているビジネスが当該国で上手くいくかどうかは、事前に入念なテストマーケティングを実施して判断するべきです。
海外展開はコストも時間もかけて行うものですから、失敗するとダメージも大きくなります。
当該国で受け入れられるかは、その国の風習や風俗に密接に関係しますが、ビジネスは根本的に対人として営まれるものですので、その国に多く住む人種や民族に対して有効かどうかという視点でテストマーケティングを行います。
このテストは海外法人設立前の段階で行うことになるのが普通で、駐在員の拠点を開設して行ったり、現地企業との合同施策として展開することになるでしょう。③親日文化のある国を選ぶ
日本企業としてのブランドを前面に出して事業展開するのであれば、歴史文化的にも日本に対して好意的な国に進出した方があらゆる面でプラスに働きます。
仮に人口が多くマーケットとして魅力があったとしても、国同士の関係が少しでもギクシャクすれば途端に事業に影響がでるので、日本に批判的な感情があったりその素地がある国への進出は避けた方が無難です。■まとめ
この回では海外法人を設立するメリット・デメリットについて見てきました。
海外に打って出ることは非常に挑戦心をくすぐるものであり、ビジネスの世界に身を置く者としては一種のあこがれでもあります。
メリット面を上手く享受できれば事業展開が楽になりますが、デメリットもあるので難度の高いものです。
海外展開を考えるにあたってはその道に詳しい専門家あるいは専門機関に相談し、できるだけリスクを避けて進められるようにしてください。