2022年10月15日
会社経営
接待交際費とは?基礎知識から節税効果までわかりやすく解説!
企業は事業の遂行から利益を生みだし、これを社会に還元することで国内経済や社会を支えるという大きな役割があります。
利益の直接的な還元方法として税金の仕組みがあり、利益から一定の税金を納税する必要があります。
税金の負担は少ない方が良いわけで、正しい知識の元に節税を行うことで税負担を下げることができます。
この回では「接待交際費」という経費項目を取り上げて、基礎知識から節税作用まで解説しますので、ぜひ参考になさってください。
なお接待交際費は企業の規模によって算入できる額に違いが出るので、本章の説明では中小企業(資本金または出資金の額が1億円以下)を対象とさせて頂きますこと、事前にご了承ください。
■接待交際費とは
最初に接待交際費の定義ですが、国税庁によると「交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するものをいう」とあります。
かなり広い出費が対象になりそうですが、あくまでも事業の遂行上必要なものでなければなりません。
接待交際費に計上できる支出は、その分を企業利益から控除することができ、計算上で利益を減らす作用があります。
数字上の利益が減る分、これに係る法人税などの税金も安くなるというわけです。
以前のバブル時代には接待交際費が水のように使われた時代もありましたが、今では必要最低限に抑える企業が多くなりました。
これは不景気の影響や社会情勢が大きく変わったことも影響しますが、税務署が接待交際費に関して監視の目を強めたという事情もあります。

■接待交際費として計上できる費用の具体例
ここでは接待交際費として計上できる費用の具体例を見てみましょう。
①接待にかかる飲食の費用
取引先を接待して飲み食いをしてもらう際の飲食代で、自社が支払った費用は接待交際費に計上できます。
②お土産代
最近は少なくなりましたが、料亭などで接待をした後でさらにお土産を持たせることは以前はかなりありました。
料理以外でも何らかのお土産を取引先に持たせて、その費用が自社持ちになる場合は経費項目に計上できます。
③交通費
取引先を接待するにあたり必要となるタクシー代などの交通費も必要経費になるので接待交際費に計上できます。
④取引先に送る贈答品
お中元やお歳暮など、取引先に送る贈答品にかかる費用も接待交際費に経費計上が可能です。
以上代表的なものを見てきましたが、取引先との付き合いでかかった費用はかなり広範囲のものが接待交際費に計上できるので、可能な範囲で活用すると大きな節税効果を生みます。

■接待交際費にあたらない費用
次に、接待交際費にあたりそうであたらない費用、混同しやすい費用について見ていきます。
①打ち合わせに要する飲食代
打ち合わせに要する飲食代は接待交際費ではなく会議費という別の経費項目になるので除外されます。
②イベント等に関する費用
専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用
自社社員のみが参加するゴルフコンペなどのイベントに要する費用は接待交際費にあたりません。
取引先を接待するために行う場合は交際費に該当します。
③ノベルティ等の作成費用
カレンダーやうちわなどの物品を贈与するために通常要する費用
通常、これらに要する費用は接待交際費ではなく宣伝広告費にあたります。
④取材等で使用する費用
新聞、雑誌等の出版物または放送番組を編集するための取材にかかる費用
例えば喫茶店で取材をするような場合の飲食代などは接待交際費とはなりません。
⑤1人当たり5000円以下となる飲食費
飲食にかかる費用で一人当たりの負担が5000円以下となる場合で、詳しい情報が確認できる資料がある場合、接待交際費ではなく直接損金に算入できます。
下で見るように接待交際費に算入できる金額は上限があるので、要件を満たせばその枠に収まらずに損金扱いにできます。
接待交際費とせずに直接損金扱いにするには、以下の情報が分かる資料を用意しておかなければなりません。
イ 飲食等のあった年月日
ロ 飲食等に参加した得意先、仕入先その他事業に関係のある者等の氏名または名称およびその関係
ハ 飲食等に参加した者の数
ニ その飲食等に要した費用の額、飲食店等の名称および所在地(店舗がない等の理由で名称または所在地が明らかでないときは、領収書等に記載された支払先の氏名または名称、住所等)
ホ その他飲食等に要した費用であることを明らかにするために必要な事項

■接待交際費の上限
接待交際費に計上できる金額には上限があり、以下のいずれかを各企業が選択することができます。
ⅰ:飲食に要した費用の50%
ⅱ:800万円
上記ⅰを選択する場合は飲食に関連する経費のみが使用できるので、飲食関連が多い場合は有利になる可能性があります。
ⅱは飲食以外のものも含めて800万円ですので、どちらが有利かは企業ごとに判断が必要です。

■まとめ
本章では「接待交際費」について基本的な意味や性質、節税作用などを見てきました。
事業遂行にあたり接待関連で支払った出費を経費計上できるもので、数字上の儲けを減らすことで節税作用を生むものですから、有効に活用したいものです。
実際には該当するかどうかわかりづらい出費、混同しやすい出費もあるので、確実に経費にできるかは税理士などに確認するようにしましょう。