2023年8月14日
会社経営
社長が払う7つの税金!効果的な節税方法をお教えします。
日本の税金は世界的に見ても種類が多く、制度的にも複雑であるという指摘があります。
とにかく様々な名目で税金を取られるため、少しでもその負担を減らすために国民側も知識を付けて対応していくことが望まれます。
この回では会社を経営する社長さんが支払う税金にどのようなものがあるのか、主なものを挙げて節税方法と共に見ていきますので、ぜひ参考になさってください。
■社長が意識すべき税金とは?

会社社長として意識すべき税金には自社の法人にかかる税金と、社長個人にかかる税金の二方面の税があります。
まず法人面では主に以下の税金が関係してきます。
・法人税
・法人住民税
・消費税
・固定資産税
法人税や法人住民税は法人が得た利益に対して課税されるものです。
また法人が所有する不動産は固定資産税の課税対象になります。
そして社長個人にかかる税目には主に以下のようなものがあります。
・所得税
・住民税
・固定資産税
所得税や住民税は社長個人の所得に対して課されるもので、個人として所有する不動産に対しては固定資産税が課税されます。
上記のうち法人関係の税金については、法人に関係する経理や税金のルールを理解し、上手に運用することで節税が望めます。
また個人にかかる税金では、経営する会社の経理と絡めて扱うことで一定の節税効果を望むことができます。
法人と個人で一部絡むものもありますが、まずは法人方面の税金について節税方法を見ていきましょう。
■法人における節税方法は?

法人における節税を考える上では、利益から差し引ける経費を上手く使うことが一つ大きな目標になります。
数字上の儲けを減額することで法人税など利益に対して課される税負担を下げることができます。
以下で個別の対策を見ていきます。
①役員報酬を増やす
社長も含め役員に支払う報酬は会社の経費になります。
既存の役員の報酬を増やしたり、役員を増員して報酬を支払うことで経費の増額が可能です。
これにより法人の儲けを減らして節税が可能ですが、報酬を受けとる役員個人にかかる所得税や社会保険料の負担が増えることで、トータルで支払う税金が増えてしまうことがあります。
税理士などの専門家にアドバイスを受け、トータルとして負担が最も軽減される丁度良い調整額を算出してください。
②社長の自宅を社宅にする
会社が所有する社宅を社長の自宅にすることで、法人としては家賃の一部を経費扱いにすることができます。
社長個人は会社に家賃を支払う必要がありますが、個人宅を所有しなくて済むので自宅不動産にかかる固定資産税の出費がなくなります。
③車を会社名義で保有する
会社法人として車を所有することで、燃料費や移動に係る高速道路の料金、メンテナンス費などを会社持ちにすることができます。
車は取得に際してかかる車両代が痛いところですが、これも社長個人ではなく法人持ちにすることができます。
会社名義の車を社長個人の私用に用いる場合は一定の利用料を会社に支払う必要があるものの、取得や維持管理にかかる費用の多くを会社持ちにできるので、法人の経費にできる上に個人にかかる出費負担も大きく減らせます。
④赤字の繰り越し控除を活用する
法人経営では基本的に多く儲けが出るとその分大きな課税を受けます。
ただし経理面では赤字との相殺が認められていて、これを一定期間繰り越すことができる仕組みになっています。
赤字は10年間の繰り越し利用が認められているので、赤字が出た翌年以降も黒字が出た時に相殺して数字上の儲けを減らし、税負担を下げることができます。
⑤在庫の処分
在庫は保有しているだけで管理費などの費用がかかるお荷物になります。
安売りセールなどで処分してしまうことで管理にかかる費用をなくすことができ、原価よりも安い値段で売った場合は「売却損」といって原価との差額を経費に計上することができます。
また売ることが難しい場合は廃棄することで原価の全額を「廃棄損」として経費に計上できます。
売るのも廃棄するのも難しい場合、その物の現在価値を減額評価することで「評価損」分を経費に計上することができます。
⑥福利厚生を充実させる
社員への還元として福利厚生を充実させることで、これにかかった費用を経費に計上できます。
福利厚生の中身をどのようにするかは別途考慮する必要がありますが、社員のやる気アップや会社への貢献度が高まる期待が持てます。
⑦中小企業倒産防止共済の加入
中小企業倒産防止共済は取引先が倒産した場合の連鎖倒産を防ぐ目的で創設された事業です。
国内の中小事業者が連鎖倒産に巻き込まれて経営の存続が危険にさらされないよう、万が一の際に柔軟な資金調達ができる仕組みになっています。
この掛け金は法人の経費に計上することができます。
■個人における節税方法は?

次に社長個人にかかる税金の節税について見ていきます。
①社宅を利用する
上の法人の税金でも見ましたが、社長の自宅を社宅にすることで社長個人が不動産を所有しなくて済み、固定資産税の負担を避けることができます。
もしすでに個人の自宅を所有している場合、法人が住宅手当を支給することで法人側の経費にすることができますが、それよりも社宅を利用してもらう方が税金的にはお得です。
住宅手当は受け取る側の報酬扱いになり、個人の所得税の対象になってしまうからです。
もし支障がないようであれば、すでに所有している自宅から社宅への住み替えを検討すると税金面ではお得になるかもしれません。
②役員報酬を減らして退職金を充実させる
役員報酬を増やすことで法人側の経費を増やすことができますが、これを受け取る側の所得税の負担が増える可能性があるので留意を要します。
この点、役員報酬を増やすのではなく退職金に回すことも考えてみましょう。
退職金にかかる所得は通常の所得と違い、所得控除の恩恵を強く受けられる仕組みになっています。
退職所得控除といって勤続年数が増えるにつれて控除額が増えるため、会社を長く経営するほどお得になります。
また一定の退職所得控除額を超えた分の二分の一だけが課税対象にされるため、通常の給与や報酬として受け取るのと比べて税負担を相当減らせる仕組みになっています。
日常生活を送ることに支障のない範囲で社長の報酬を減額し、その分を退職金に回すことができればトータルで受け取る金額は変わらず、税負担だけを下げることができます。
③各種所得控除の活用
個人にかかる所得税においては各種の所得控除が認められています。
生命保険料控除や配偶者控除、社会保険料控除などの一般的な控除項目は漏らさず利用しましょう。
また多少手間をとられますが医療費控除もぜひ利用したい項目です。
そして経営者目線では寄付金控除も意識したいところです。
一定の団体や組織に寄付を行った場合に所得金額の最大40%が控除の対象になり、住民税においても最大30%が控除対象になります。
どのような寄付でも寄付金控除の対象になるわけではなく、国や自治体、一定の公益法人やNPO法人、政党や政治団体などへの寄付が対象です。
経営者は政党や政治団体とのつながりがあることも多いので、そうした組織や団体への寄付を求められることもあると思います。
対象になる寄付については寄付金控除が可能なので漏らさず利用しましょう。
■まとめ

本章では会社を経営する社長さんが意識すべき税金とその節税方法について見てきました。
経営者は自分自身の個人にかかる税金だけでなく経営する会社の税金についても把握して、できるだけ税負担を下げるように努力したいものです。
法人面では経費項目を上手く使うことが大きな目標になり、まずはどのような項目で経費計上が可能なのか知る必要があります。
大きな会社でしっかりした経理部門があれば任せることができますが、自分で経理も行っている場合は経理や税金の仕組みについても勉強して知識を付けていきましょう。
個人の税金については法人よりもシンプルですが、会社の経理と結び付けることで一定のお得を享受することができます。
顧問税理士がいる場合は節税に繋げられる点が無いか、一度相談してみると良いでしょう。