2023年4月10日
スタッフブログ
新電力会社の撤退・倒産が急増している背景を解説!
個人の家計だけでなく、事業者にとっても昨今の電気代の高騰は悩みの種となっています。
事業者の場合、個人家計とは比較にならないほどの電力を使いますし、事業者によっては照明だけでなく食品の保管など様々な用途で電気を使わなければならないので、安易に電気の使用を控えるといった対策が取れないことも多いです。
日本ではすでに電力自由化が実施されており、事業者間の競争によって消費者はより安く電気を使用できていましたが、ここにきて新電力各社の撤退や倒産が相次ぐ事態となっています。
本章ではこの問題について見ていきたいと思います。
■電力自由化と世界情勢の影響

電力自由化は、電力分野における市場開放を行って個別企業が新規参入できるようにし、企業努力の元で消費者がより安く電気を利用できるようにしたものです。
結果として小規模の事業者が数多く参入し、消費者は自身が望む電力会社に乗り換えることで電気料金を下げることができていました。
電力自由化は当初はうまく機能していたと評価できますが、昨今の世界情勢の変化の影響を受けて危機的状況となっています。
円安やロシア・ウクライナ紛争による燃料価格の高騰で電力生産に伴うコストが増大し、体力がない中小の電力会社の事業継続が難しくなり、事業撤退や倒産が相次ぐ事態となっています。
■相次ぐ新電力の撤退・倒産

新電力各社では利益を上げることが難しくなったことから事業撤退を図ったり、新規の利用申し込みの受け入れを停止したりする所が多くなっています。
また撤退を通り越して倒産するケースもあり、業界として危機的な状況にあることが伺えます。
新電力のこうした状況をヒアリングした帝国データバンクによる調査では、対象の706社のうち、2023年の3月時点において新規の契約を停止した企業が112社、事業から撤退した企業が57社、倒産や廃業に追い込まれた企業が26社に上るとしています。
全事業者706社のうち195社、比率にして27.6%が何らの後退を余儀なくされているという計算です。
去年の2022年3月時点では後退を見せたのが31社で4.4%であることに比べると、今年に入って6.3倍に増えている計算です。
新電力各社は料金プランの変更をしたり約款を改定するなどして事業の存続を模索する所が増え、これによって利用者側も当初の予想通りの恩恵が受けられなくなるケースも出ています。
それでも、サービス提供を続けられている事業者であれば旧電力各社(東京電力や中部電力、東北電力などの旧来の電気事業者)よりは安く電力を提供できるので、利用者は低額利用の恩恵を受け続けることができます。
しかし事業撤退や倒産という事態となった場合は利用者側で対処が求められます。
この点を次の項で見てみます。
■新電力の撤退・倒産にどう対応する?

電気に関してはいきなり供給が停止されると国民生活に多大な支障が出ることから、いきなり電気が止まることはないように仕組みが作られています。
新電力企業が事業撤退や倒産などでサービス提供を停止する場合は事前に通知が必要で、資源エネルギー庁の「電力の小売営業に関する指針」によれば、15日程度前までに契約解除の予告通知をださなければならないことになっています。
通知が来るのは良いとしても、15日前というのは電気利用者側としてはいささか短い気もします。
解除通知を受けた利用者側では他の新電力各社に乗り換えるか、または旧一般電気事業者との契約に戻すかを検討し、手続きを取らなければなりません。
そのための余裕期間の確保はもっと長く欲しいところですが、利用者側としては短い期間で決定を求められることに留意しておく必要があるでしょう。
現在契約している新電力が撤退・倒産した場合、他の新電力に乗り換えることは可能ですが、新規の受付を停止している事業者も多いので意図する企業と契約できるかは分かりません。
ただ、もし契約できる新電力がなかったとしても、必ず旧一般電気事業者が受け皿になる仕組みになっているので、電気が使えなくなるということはありません。
新電力よりは電気代が高くなってしまいますが、この点は仕方がありません。
■事業内容の調整やスキームの見直しも検討

電気代が高騰する中、これを消費する利用者側も電気代の負担をできるだけ減らすように努力したいものです。
といっても事業で電気を使う企業としては大幅な電気使用量の削減は難しいこともあるかもしれません。
取り組みやすいのは照明の利用をできるだけ控えるようにすることくらいかもしれませんが、事業者によってはこれまでの事業内容やスキームを変更し、電力をあまり使用しないスキームを求めていく姿勢も必要かもしれません。
これは簡単にはいかないことですので、会社としての事業変更も視野に入れた対応が必要になります。
大変難しい問題ですが、各企業に努力が求められています。
■まとめ

本章では新電力会社の撤退・倒産が急増している背景について見てきました。
電力自由化は当初国民にとってメリットを提供してくれていましたが、世界情勢の変化からこれまでのようなサービス提供が難しくなっている現状があります。
最悪、電気が止められてしまうということはないのでこの点は安心できますが、電気代高騰のあおりで資金不足に陥る企業も出ているようですので、経営者にとっては資金繰り問題を深める要因にもなりそうです。
情勢が落ちついて燃料価格の落ち着きが早く見られることを期待しつつ、もし急に資金繰りが悪化した場合は弊社のファクタリングが有効ですので、ぜひ検討を頂きたいと思います。