2023年2月16日
資金調達
どうしたらいい?ゼロゼロ融資の返済苦。国の対策を詳しく解説。
新型コロナ発生当初の世界の混乱ぶりは記憶に新しく、わが国でも国民の行動制限から経済が大きく停滞しました。
事業者が売り上げを確保できない状況となったことから様々な支援策が打ち出されましたが、その一つに「ゼロゼロ融資」があります。
多くの事業者が利用したこのゼロゼロ融資の返済が間もなく始まることから、体力を回復できていない事業者にとって大きな負担になります。
本章ではゼロゼロ融資の返済が苦しい事業者の方に向けて国が提供する支援策を紹介していきますので、ぜひ参考になさってください。
■ゼロゼロ融資の返済は2023年7月頃から集中する見込み

ゼロゼロは実質無利子、無担保で融資を受けられる措置として提供され、コロナによって経営の継続が困難になる事業者を救う手立てとなりました。
多くの事業者がその恩恵を受けることになりましたが、その返済時期がいよいよ迫り、2023年7月~2024年4月に集中すると見込まれています。
最近はコロナ発生当初に比べると様相は落ち着いているように見えますが、個別企業の体力の回復度合いはまちまちで、中小の事業者ではギリギリの経営が続いているところもあります。
他にも買掛金の支払や他の借金、設備投資などの借り入れの負債も抱えている中、ゼロゼロ融資の返済負担も重なることで事業継続を諦める事業者も出てくるかもしれません。
上記の期間に一気に倒産が増加することになると、国の経済にも悪影響を及ぼすことが予想されます。
国は複数の支援策を打ち出しているので、企業サイドとしてはこうした施策をできるかぎり有効に活用し、自社の存続を図っていく必要があります。
次の項ではその一つであるコロナ借換保証制度について見ていきます。
■コロナ借換補償制度とは

コロナ借換保証制度は民間のゼロゼロ融資の借り換えなどの際に強力な保証を付けることで負担を大きく低減し、有利な借換を実現する政府の支援策です。
この制度のポイントは3つあり、まずは上記のようにゼロゼロ融資の返済負担を減らせることがありますが、実はそれだけではなく、他の融資の借り換えに利用することもできるので、利用できる事業者の幅が広く設定されています。
さらに、条件を満たせば借換ではなく新規の融資の際にも利用することができるのが大きな特徴です。
事業再構築など前向きな投資に必要な資金の借り入れの際にも有利な保証を付けることができ、資金調達の難度を下げることができます。
制度の概要を以下で確認しましょう。
保証限度額:1億円(100%保証の融資は100%保証での借換が可能)
保証期間:10年以内
据置期間:5年以内
金利:金融機関所定
保証料 (事業者負担):0.2%等 (補助前は0.85%等)
事業者負担の保証料が大きく低減されることから有利な借換や借り入れに繋げることができます。
本制度を利用するための要件としては、まず以下のいずれかに該当することが必要です。
①セーフティネット4号の認定を受けていること
②セーフティネット5号の認定を受けていること
③売上高が5%以上減少していること(最近1カ月間と前年同月との比較)
④売上高総利益率/営業利益率が5%以上減少していること
セーフティネット4号とは、自然災害等の発生を原因として売上が減少してしまった事業者を支援する制度で、コロナ感染症を原因としたものも含まれます。
セーフティネット5号は全国的に業況悪化がみられる業種で事業を行う事業者を支援するもので、国が指定する業種に属している者が対象です。
さらに、上記に該当することに加えて金融機関による伴走支援を受けることが求められ、各事業者は経営行動計画書の作成もしなければなりません。
経営行動計画書とは、自社の現状を把握してこれから売り上げの確保にどう動いていくのかを示す計画書です。
これを提出することで本制度利用可否の審査を受けることができます。
コロナ借換保証制度の利用申請の窓口は金融機関で、手続きの流れは以下のようになります。
まず利用者が経営行動計画書を作成し金融機関に申し込みます。
金融機関側は上記を受けて与信審査を行い、問題なければ必要書類を準備して市区町村に対しセーフティネット保証の認定申請を行います。
上記に並行して、金融機関が保証協会に対し保証審査を依頼します。
認定を受けられれば、金融機関が融資を実行するとともに継続的な伴走支援を進めることになります。
■新型コロナ特例リスケジュール

次に「新型コロナ特例リスケジュール」について見ていきます。
これは経済産業省が所管する事業で、金融機関から借りている資金の返済について、事業者だけでは難しいリスケジュールを公的に支援する制度です。
全国47都道府県に設置された国の公的な再生支援プラットフォーム「中小企業再生支援協議会」に相談すると、金融機関経験者や公認会計士、税理士、中小企業診断士、弁護士等の専門家が金融機関に対し調整の段取りを付けてくれます。
具体的には、複数金融機関を一括して元金返済猶予の要請や既存債務の元金払いをストップするなどの実現が可能になります。
これらの支援は原則無料で受けられるので、ぜひ活用しましょう。
■事業再構築補助金

もう一つ、事業再構築補助金についても見ていきます。
本制度は、新型コロナウイルスの影響で売上の回復が難しくなるなど、これまでの事業を継続するのが困難となった事業者を支援するものです。
新分野展開や業態転換、業種転換、事業再編など思い切った事業再構築を目指す中小企業等の挑戦を支援するのが目的です。
本事業は経済産業省が所管する補助金事業ですので、獲得した資金は返済不要ですから可能であればぜひ利用したいものです。
本補助金には「通常枠」、「大規模賃金引上枠」「卒業枠」「グローバルV字回復枠」「緊急事態宣言特別枠」「最低賃金枠」の5つの枠が用意されていますが、一般の中小事業者が利用しやすい通常枠の補助率は以下のようになっています。
従業員数 |
上限額 |
20人以下 |
100万円~4,000万円 |
21~50人 |
100万円~6,000万円 |
51人以上 |
100万円~8,000万円 |
上記の補助率は原則として三分の二です。
中小の事業者は「緊急事態宣言特別枠」「最低賃金枠」も比較的利用しやすいと思われます。
これらは通常枠と比べて補助金額の上限を引き下げ、代わりに補助率を引き上げることで通常枠より採択されやすいようになっています。
補助金施策の利用は準備や要件整備に手間がかかるので、専門家の支援の下に検討するのがお勧めです。
■早めに専門家に相談しましょう

コロナの影響下で返済の負担や資金繰りの調整に問題を感じている場合、早めに専門家に相談して適切な手立てを考える必要があります。
弊社では日ごろから企業様の資金調達を支援する一環で、各種コンサルティングサービスも提供しております。
資金繰りの問題は勿論、金融機関との交渉支援や税金対策、補助金等の獲得支援まで幅広くお手伝いさせて頂きますので、ぜひお気軽にご相談くださいませ。
■まとめ

本章ではゼロゼロ融資の返済が苦しい事業者が利用できる国の支援策をいくつか見てきました。
企業は経済を支える土台ですから、国も色々と施策を打ち出し支援を提供しています。
事業者サイドはこれらの施策をできる限り有効に活用できるよう、個別に検討していく必要があります。
本業を抱える中で検討の時間を確保するのが難しい事情もあると思いますので、必要に応じ専門家に相談するなどして有効活用を模索していきましょう。